「雀蜂」
「黒い家」、「ISOLA」等最高レベルのホラー・ミステリーを書き上げた貴志祐介でも、完成度の低い作品があるのだと弘法も筆の誤りを感じさせる本作だった。
冬の雪で閉ざされた冬の山荘で、人気ミステリー作家が目を覚ます。
消えた妻の代わりに姿を現したのは、主人公にアナフィラキシーショックを引き起こす蜂。
以前に刺されたことがある主人公は、もう二度と刺されるわけにはいかないと身構え、恐れる。
しかし、外界への連絡手段を絶たれた主人公に残された道はただ一つ。
死神と化した蜂と闘うことだけだった。
続きを読む「その道のプロに聞く生きものの持ちかた」
フェレットカフェにあった本。
いろいろな動物の持ちかたを写真と軽快な文で紹介した本で、大変楽しめました。
持たれた動物の表情と持たれ具合が、最高にいい。
野球ボールのように包み込まれたインコとヒヨコ、きょとんとした表情がたまりません。
鳥ってこんな風に持つべきなのね、こんな風に持っている人見たことないけど。
あと哺乳類中心かと思いきや、前半はむしろ虫系のが充実していて、小学校の頃に知っていたかった!と膝を打ちました。
基本はお互い傷つかないために関節を押さえる。
同じような動物でも関節やトゲがある場所が違うので、生きものごとに持つべき場所が異なることが驚きました。
まず、普通に生きていてサソリとかタランチュラとかイグアナとか触るどことか見る機会もそうそうないと思われますが。
全然興味のなかったフェレットに今日触ってきたわけで、人生万が一のことがあるかもしれない。
おすすめです。
「誤解だらけの日本美術 デジタル復元が解き明かす「わびさび」」
本書が学術的に正しいかは横に置いておいて、日本美術の鑑賞の仕方として、かくあるべき方向と感じました。
誤解だらけの日本美術 デジタル復元が解き明かす「わびさび」 (光文社新書)
- 作者: 小林泰三
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/09/16
- メディア: 新書
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筆者は、学者ではありません。
大学は美術専攻だったみたいですが、印刷会社に入社して、独立された方です。
なので、学術的な研究結果というほど確かな裏付けも弱いし、あくまでちょっと独自な解釈として本書を捉えるべきです。
正直に言って、文体とか全然好きじゃないです。
でも、学術的じゃないし嫌いだなーと思いながら、読み切ったのは、おそらく筆者の小林さんの主張は日本美術の今後の鑑賞の仕方としてあるべき方向のひとつだと思ったからだと思います。
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お題「今年、買ってよかった物」
お題その2「今年、買ってよかった物」
①ハードカバー用ブックカバー
いままで文庫サイズしか持っていませんでした。
しかし、図書館で借りる本の8割がハードカバー。
図書館の本なので大事にしたいし、電車なので本にカバーかけたい。
これは春夏用。倉敷帆布なので衝動買い。
秋冬用には「私の大好きな本」という刻印がある深緑のこちらを。
最近はネットでフリーのブックカバーもDLできますが、やっぱり使っていて馴染むものがいいかな。
ただ、新書サイズのブックカバーは持っていないので、気に入った100均の折り紙を貼り付けて自作しています。
②Xperia X performance & Smart watch3
携帯は7月、時計は10月にずれて購入。
携帯は3年ぶりなので、サクサク動いて嬉しい。
ただちょっと大きいし、重い。やっぱりコンパクト版待てばよかった。
スマートウォッチ購入はそうとう悩みました。
ソニー製品好きだけど、女性には似合わないごっつい時計、正直言ってダサい。
あと、私の腕回りって相当細いので、絶対浮く。
早くWMの香水瓶みたいなのを出してほしいって、ないものねだりしてました。
しかしながら、オムロンの活動量計のアプリ統合による改悪で、勇気が出ました。
結果は、買って良かった。スマートな生活。
お堅い会社なので、スマートウォッチ自体付けちゃダメな雰囲気なんですが。
ゆるーい上司なので、全然気にしていない。
袖口に隠せる冬場だけ時計としてつけて、あとはホルダーで使用する予定。
皮の端切れや真田紐も買ったので、色々自作しようと思います。
読書ブログなのに全然買った本がないんですけど、本当に買いたくなる本が今のところないなぁ。
来年は衝動買いしたくなる本にもっと出会いたいものです。
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「記憶の食卓」
「夜は一緒に散歩しよ」と同じく、ホラーが読みたくて借りました。
ホラーはホラーでもサイコホラー。
ちょっと気持ち悪い描写が多いので、「悪魔の舌」同様おすすめしにくい作品です。
- 作者: 牧野修
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/09/26
- メディア: 単行本
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名簿屋に働く主人公がふと手に取った名簿。
載っているのは、最近世間を騒がす連続殺人事件の被害者たち。
その名簿に自分の顔写真・名前・住所が載っていた。
連続殺人の被害者リストに自分が載っているというアイデアが面白い。
サブストーリーも結構面白い。
心理的外傷を抱えた人々が、どう克服しようとするのか。
そして極限状態でなにに執着するのか。
ある者は感想を、ある者は記憶を。
面白いんだけど、気持ち悪い描写にしてやろうという作者の意図が強すぎて、なんだかなぁ。
ラストの研究者のサラリーマン的な無責任な態度がまた物語の質を下げてる。
ここは寧ろ、研究者も被害者の家族の一人で、被害者たちを助けたかったのにすんでのところで間に合わなかったという後悔と懺悔を聞きながら、処置をされた方が。
救いの可能性があったけど繋がらず、また記憶に対する考えの違いに絶望して。
そして善人だった研究者もまた他の被害者に惨殺される。
また他の研究に荷担していない研究者が惨殺した被害者を殺さざるを得ない、みたいな業の深さを感じながら終わった方が良かったかな。
そして更に、全然間に合わなかった警察がのこのこ現れて、最後の研究者に全てを聞き、自殺を止められない。
で、ラストに精神障害で有罪にできなかった包帯の男が聖書の一説を口ずさみながら、人里離れた道を行く。
「夜は一緒に散歩しよ」
本格的なホラーを読みたくて、ネットで見つけた本書。
- 作者: 黒史郎
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2007/05/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 6回
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巻末の選評で驚きました。
まさか新人賞の作品とは。
安定した文体は全く新人さを感じません。
主人公の娘・千秋が描く青い顔が怖すぎて、夢で見ないか読みながら心配で震えました。
妻・三沙子の死で目覚めた千秋の絵描きの才能。
子どもらしくない異形の生き物や青い女の顔ばかりを描き続ける。
はじめは特別な才能だと絶賛していた小説家の父・横田も、周囲の異常と死の濃さに恐れていく。
妻が祟るはずなどない、死者の物語は続かない。
気のせいだ、と娘を信じる父親。
しかし、止まらぬ娘の異常。
周りの人々にどんどん不幸が訪れる。
この原因は皆が言うように、妻の呪いなのだろうか。
なぜ、どうして、どうすれば。
真相に横たわるひとりの悲しい女の子の物語。
はじめの夜の散歩で千秋ちゃんが描いた絵が最後に繋がっていたのが、良かったなと思います。
ちょっと余韻が残る終わり方もいい。怖すぎる。
千秋ちゃんが果たしてまともに育つのか心配。
まだ小さいから、けろっと元に戻るのかな。戻って欲しい。
「子供の奇行ってそんなに怖い?」て話題になったんですが。
すんごい勢いで、青い顔の女、しかも無表情から狂気の笑いに変わる紙芝居された日には悪夢見そう。
序盤の鳩切り裂いて、顔血塗れも相当グロいし、精神的にくると思うんだけどなぁ。
「万能鑑定士Qの事件簿Ⅵ」
万能鑑定士vs万能贋作者の対決!
- 作者: 松岡 圭祐
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/10/23
- メディア: 文庫
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途中まで、なんなんだこの展開は?って思ってたんですけど。
偽ものは物だけじゃない、ですね。
莉子と相対する犯人が好敵手って感じで、捕まらずにこのままルパンとモリアーティ教授みたいになってほしかった。
ところで、本作でふと気付いたんですけど、莉子って人間臭いこというのに、生活感あんまりないなぁ。
いくら仕事熱心でも、プライベートの人付き合いがほとんど描写されないし。
前作で、フランス語の勉強に熱中するあまり大声で熱演して近隣住民に苦情を受けてたのはなんか好き。
もうシリーズ完結してるけど、もう一回、今回の犯人さん出てこないかなぁ。
もちろん莉子の友人としてね!