読書はしご

読書雑多文。

「ともだち同盟」

落涙戦争を思い出しながら図書館で借りたら、サイコホラーな内容で夏にぴったり…。 

ともだち同盟

ともだち同盟

 

 

学生ならではの閉じた人間関係、閉じた世界。そこで帰結させたい欲望。

秘密をバラさない、嘘を言わないという「ともだち同盟」のルールによる叙述の魅力。

西尾維新とか好きそうな人向け。

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「万能鑑定士Qの事件簿 XI」

 やらない善よりやる偽善、と考えると犯人側に立ってしまう。

個人的には、この犯人を裁くべきか否や。悩ましい一作となりました。

とある寂れた寺が急遽世間の話題を集めることに。

寺の境内には開けるまで誰も触れられぬ祈願箱。

その中に入れられていた祈願文の内容は誰も知るはずのなかった内閣人事、有名人の電撃結婚など。

トリックが入り込む余地のない儀式に、沸き立つ世間。

難解に莉子が挑む、そしてその相手の僧侶は意外な関係者だった。

 

 ネタバレあります。

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「日本SF短篇50 IV 1993-2002 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー」

 前半は引き込まれたけど、後半は実験的な作品が多くてⅤと異なり傑作集ではなかった。

巻末解説に「SFクズ論争」とあるが、冬の時代だった影響だろうか。

 それでも、ググッと引き寄せられる作品も多かった。

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「金魚のおつかい」

ポッドキャストの朗読から。

基本的には本の読書感想しか載せないつもりなのですが、今回は金魚のあまりの可愛さゆえ特別に。

http://kikudorabungak.main.jp/archives/1791
与謝野晶子「金魚のお使い」 | きくドラ

 

与謝野晶子はただいま源氏物語青空文庫で少しずつ読み進め中。

今回は夏らしい童話があったので聴いてみたら、金魚のかわいらしいこと!

 

あか、しろ、まだらの三匹の金魚が飼い主に頼まれて、おつかいに。

鉄道に乗ろうと切符を駅員に求めると、「金魚は手がないからいい」と言われて、無事にホームに向かい電車に乗り込むも、「電車に水がない!」と三匹は大騒ぎ。

「水がないと!」

「私たち死んじゃうぅぅぅぅ」

「水を下さいー!」

「電車に水を入れると、他のお客様に迷惑です」と断るも哀れな金魚に困った車掌さん。

「じゃぁ、駅長さんの家から、金盥いを借りてきましょう」と提案。

無事電車に乗れました、という下りが可愛すぎます。

 

きくドラは少々アレンジをきかせて、面白い朗読をされるので原作通りかは分かりません

(真夏の夜の夢は最高にギャグ路線だったし)。

きゃいきゃい愛くるしい金魚を求めて、是非原作も読みたいところです。

 

読書は自分だけで読み進めるものですが、たまにはポッドキャストで朗読されたものを聞くのもいいものです。

「素浪人横丁 人情時代小説傑作選」

 あてどない暮らしの中で、人情を感じたいときに。

 

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「最後の証人」

タイトルが胸に響く一作

最後の証人 (宝島社文庫)

最後の証人 (宝島社文庫)

 

 私としては宮部みゆきレベル。

この社会性の高さと、日常を営む人たちを襲う悲劇と、事件へのひたむきさ。

いやミス読むぐらいなら、柚月裕子読んだほうがいい。

(注:個人の感想です)

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「日本SF短篇50 V 2003‐2012 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー」

 旅のお供には間違いない一冊を持ち歩きたい。

ならば、ハヤカワの短編集をお勧めします。

 6月上旬に計画した日帰り弾丸東京ミュシャ旅行。

そして、連日twitterで発信される恐ろしい待ち時間。

地方暮らしの身には、行列に並ぶことなんてまずない。嫌いだし。

炎天下で1時間以上も待つなんて死ねというのか。

暗い気持ちでいたところ、目に飛び込んでくる「日本SF短編50」。

そして「ハヤカワ文庫」。

救いの手がもたらされた、と思いました。

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