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読書はしご

読書雑多文。

ショーペンハウアー「読書について」(光文社古典新訳文庫)

 

読書について (光文社古典新訳文庫)

読書について (光文社古典新訳文庫)

 

 大学の研究サークルで、新入生向けに研究担当の先輩が選んだのが「読書について」でだった。

たしかショーペンハウエル、だったと思うんだけど、昨今のご当地読みでショーペンハウアーと読むのだろうか。

手に取ったのは、光文社による新訳なので、大学の時に読んだであろう岩波文庫の訳からするとだいぶ読みやすい…と思う。

そもそも先輩も「読みやすいし、大事だからコレが入門にいい」て選んでた気もする。

大学卒業ごろから、やたら新訳が増えたような気がする。気がするだけかも。

昔ながらの古典で「なんのこっちゃ」言いながら読み進むのもいいと思うし、新訳を読んで「古典言うけど、読みやすいやん。もっと読もう」となるのもいいと思う。

とりあえず、古典と言われるものは社会科学の素養と思うので、読んで損はない。

どんどん読もう。

 

「読書について」をまず読みたいにもかかわらず、本作は三部収録されていて、肝心の目玉は3番目に配されている。

「自分の頭で考える」、「著述と文体について」、「読書について」の3部。

ショーペンハウエル(このほうが馴染みがある)の切れのいい文は読みやすいし、爽快。

 

1、「自分の頭で考える」

先日NHKで不寛容社会について特集番組があったが、自分と同じ意見しか人は見ようとしない、ってことについて論じられていた。不寛容社会に興味がある人は読めばビビッとくるはず。

 

2.「著述と文体について」

ドイツ語を学んでないので面白さ半減。ショーペンハウエル氏の「昨今のやたら文字を省略したがる研究者と物書き野郎は国の恥にしかならない。筆を折れ!そしてドイツ国民よ!こいつらが書いた文は読むな。ゴミだ!」と意気込み荒く論じられているのが、大変面白い。

「いい文章っていうのは、明確で読みやすく、簡潔だ!」とか言いながら、ひたすらに不満をぶちまける本文はどうなんですか!それに、言葉は生き物だぜ?ショーペンハウエル先生よぅ…と笑って読めました。

正しい国語と現代の言葉をめぐる議論ていうのは、いつの時代も変わらないもんですね。

 

3.「読書について」

「いいか、読書っていうのは他人の思考をトレースする(させられる)時間だ。読書したからって、自分で考えた気になるな!間違えるなよ?いいか、肝心なのはあくまで自分が思考する、これは普段からできることだ。自己努力が何よりも大事なんだ!!」ってことですね。

時事ものとか、研究書読むときには、心得ておくべき最低限の心構えです。

中高校生とか、ここらへんの心構えができていないときに、過激な文章や思想に触れると危ないんだぜ、っていうのはISに染まる若者とかうっかりEU離脱に投票しちゃうイギリス国民見てればわかりますね。

情報リテラシーという言葉が出る遥か昔の19世紀から、しこたま言われていることです。

 

新訳のおかげかはわかりませんが、ショーペンハウエル氏と居酒屋で一緒に飲みたくなったなぁ。

言葉って当世の時代感を反映させるものであって、文化論から言えばそういう点からも時代分析できるわけですし、いいじゃないですかぁあーって。

あと、「読書について」で、一部の人しか本当の思考ができないとか、超上から目線過ぎです!他人の思考をトレースして、ようやく新境地に気づいたり、たどり着けたりもするわけで、思考トレースの功罪の罪ばかり見すぎじゃないですか?まぁ、自頭がよろしい先生には分からない下々のお話ですけどぉぉぉ?って絡みたい。