「本をめぐる物語 一冊の扉」
本がテーマの短編集。
気軽に構えていたら、作家さんにとっては一般人より遥かに本に思い入れが思いがあるのだな、とたじろがせる内容が多くて楽しかったです。
- 作者: 中田永一,宮下奈都,原田マハ,小手鞠るい,朱野帰子,沢木まひろ,小路幸也,宮木あや子,ダ・ヴィンチ編集部
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2014/02/25
- メディア: 文庫
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「メアリー・スーを殺して」
生みの苦しみ。
おたくぽい夢小説を書いていた子が、真の作家になるまで。
途中からおたくらしさが失われていくのが、おたくとして少し寂しい。
旧友との再会を通して、再び筆を執り、少女は作家となる。
全ての夢小説家に贈りたい一話。
妄想から飛び出て、想像の翼を逞しく広げよう。
「旅立ちの日に」
誰かに本を贈るのは、読書家ほど悩むものじゃないでしょうか。
でも、受け取った人が本を読みとくわけで、そんなに気にしなくていいのかも。
大学で都会に進学する娘に、父が一冊の本を贈ります。
「砂に埋もれたル・コルビュジエ」
実話をベースに原田マハが短編にした作品。
自分の生命が潰えそうな時に、未来を信じて本を砂浜に埋める。
語り継ぎたい戦争の記憶。
そして本の力。
「ページの角の折れた本」
正直、分かりにくかった。
内容的な短編より、これでハードカバー一冊書いたほうがいい。
「初めて本をつくるあなたがすべきこと」
コメディ。
たった一冊の本の裏側に、こんなにドラマが。
店頭に並ぶ本に、「お疲れ様です」と言いたくなりました。
「時田風音の受難」
またコメディ。
ラストに「そんなぁー」と思ったけど、本人が幸せそうなのでめでたしめでたし。
「ラバーズブック」
アメリカの食堂のテーブルに伏せられた本。
自由を感じる。
舞台はアメリカだけど、なんか日本らしい作品。
「校閲ガール」
痛快、観てませんがドラマになるのも頷ける。