「日本SF短篇50 IV 1993-2002 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー」
前半は引き込まれたけど、後半は実験的な作品が多くてⅤと異なり傑作集ではなかった。
巻末解説に「SFクズ論争」とあるが、冬の時代だった影響だろうか。
それでも、ググッと引き寄せられる作品も多かった。
「くるぐる使い」大槻ケンヂ
大槻ケンヂって小説家でもあると初めて知りました。
構成よし、着想よし。巻頭に持ってくるのが納得の作品。
最後に『「不思議な夢のようだな」と、いつものようにそう思った」』という一文。
いつものように、なんだなぁ。
「朽ちてゆくまで」宮部みゆき
安定の宮部みゆき。
そろそろVHSってなに…??という世代が多くなりそう。
「操作手(マニピュレーター)」篠田節子
介護する側される側、それぞれの想いがありますが。
介護ロボットとおばあちゃんの邂逅は美しい。
これ、映像化したら結構人気出ると思う。
「永遠の森」菅浩江、「海を見る人」小林泰三はSFの設定を生かしたピュアな作品。
「嘔吐した宇宙飛行士」田中啓文
くだらないけど、最高に勢いがある。食前食後にはお勧めしない。
「星に願いを ピノキオ二〇二六」藤崎慎吾
ラスト10行の深いこと。
最後の彼は、人間なのか、人工知能なのか。
人の脳を手に入れた人工知能はどう生きる。
絶賛している方が多い「螺旋文書」の牧野修は、私には合わなかった。
文章は読ませるのに、話がない気がするんだけどなあ。