「営繕かるかや」
BGMは蟲師のサントラをおすすめします。
まずは表紙をご覧ください。
もうこれだけで何故か満足してしまう。絶対面白いという謎の自信。
城がある古い街並みに息づくひとでなき者たちと、そこに暮らす人々の短編集。
家を継ぐ、越す、リフォームをする。
人の暮らしの中で、家を舞台に人と怪しきものが邂逅してしまうことがある。
家鳴りか、誰かいるのか、自分や家族に類が及んでしまうのではないか…。
登場人物が感じる恐怖の描写もさることながら、旧い家や街並みの描写の細やかさにも、思わずため息が漏れます。
また幽霊か妖怪かの正体不明な者たちが恐ろしいのに、最後は愛おしくも感じる力量はさすが小野主上。
得体の知れぬものに怯えてしまう人間たちに対して、呪うわけでも祟るわけでもない、ただそこにある者たち。
こちら側に左右されない存在は蟲師に出てきた蟲たちのよう。
漆原友紀が表装を飾ったのも当然といえる内容でした。
巻末によるとなんと連載中の営繕かるかや。
次巻が待ち遠しいです。