読書はしご

読書雑多文。

「営繕かるかや」

待ちに待った十二国記ではありませんが、小野主上の新作!!

営繕かるかや怪異譚

営繕かるかや怪異譚

 

 BGMは蟲師のサントラをおすすめします。

 まずは表紙をご覧ください。

怪し好きで知らぬものはいない、蟲師漆原友紀による表装。

もうこれだけで何故か満足してしまう。絶対面白いという謎の自信。

 

城がある古い街並みに息づくひとでなき者たちと、そこに暮らす人々の短編集。

家を継ぐ、越す、リフォームをする。

人の暮らしの中で、家を舞台に人と怪しきものが邂逅してしまうことがある。

家鳴りか、誰かいるのか、自分や家族に類が及んでしまうのではないか…。

登場人物が感じる恐怖の描写もさることながら、旧い家や街並みの描写の細やかさにも、思わずため息が漏れます。

 

また幽霊か妖怪かの正体不明な者たちが恐ろしいのに、最後は愛おしくも感じる力量はさすが小野主上

得体の知れぬものに怯えてしまう人間たちに対して、呪うわけでも祟るわけでもない、ただそこにある者たち。

こちら側に左右されない存在は蟲師に出てきた蟲たちのよう。

漆原友紀が表装を飾ったのも当然といえる内容でした。

巻末によるとなんと連載中の営繕かるかや。

次巻が待ち遠しいです。