読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

読書はしご

読書雑多文。

「なぜなら雨が降ったから」

ミステリー 短編集

 

なぜなら雨が降ったから

なぜなら雨が降ったから

 

ハヤカワミステリマガジンで紹介されてて、梅雨時に絶対読もう!と固く決意していた作品。

余談ではあるが、ハヤカワミステリマガジンは昨今にしては心配になるほど、率直にグレートな記事が多い雑誌である。

提灯記事ばかりの某オサレ的読書雑誌に比べて、実にマニアックな構成と記事が多い。

ミステリー好きにしか薦められないが、「最近なにかグッとくる本、読んでない。読みたいなぁー」と思ったら、ダ・ヴィンチなんぞを手に取る前に、ハヤカワミステリーマガジンを取るべきである。

記者たちのマニアックにすぎる知識と読書歴に、「私なんぞはまだ読んだうちに入りませんでした。ミステリー元祖から読み進めていきます、ハイ」と己の不勉強ぷりに小さくなれること請け合い。

 

そして、確か去年ぐらいに紹介されていたのが、本作「なぜなら雨が降ったから」。

短編5話が収録されている。

 

主人公の大学生が出会ったのは同じアパートに事務所・自宅を構える探偵・揺木茶々子。

この探偵、雨女である。

ミステリ好きならば、もうこの時点のこの本の半分が分かっただろう。

そう、雨女たる探偵が、雨を契機として事件の謎を暴きまくる本である。

 

雨は我々の日常の予定を狂わせる。

突然降る雨、降らない雨。

犯罪を犯した犯人に急に降ってきた雨。

犯行現場に施した工作も、雨が降ったせいで水の泡。

なるほど、目敏い探偵にはお見通し、というわけか。

その通り、という本作。梅雨のうっとおしい雨の時期に手に取るにふさわしい本です。

 

作者の森川 智喜は「一つ屋根の下の探偵たち」を読んで、つまらないわけじゃないが二度と読まないだろうな、と思ってたので、再度手に取った自分にびっくり。

人におすすめする本ではないが、季節を感じるタイトルに惹かれました。

雨ではないけど、第四話、あるは冬の雨女探偵「雪女探偵」の雪女の考察は面白かった。

雪女と結婚した女房の関係性については実にミステリ的発想で、感心。