読書はしご

読書雑多文。

「女子会川柳 調子どう? あんたが聞くまで 絶好調」

サラリーマン川柳の女版。

 

女子会川柳

女子会川柳

 

上司をえぐったと思ったら、読み手のOLもえぐられた内容が多くて、痛み分けの内容なので男性の方も安心して読み進められる内容です。

 

カレよりも 課長の夢 よく見てる

緊張する仕事の前日に考えたくもないのに、潜在意識ではシミュレーションしたいのか3回も同じシチュエーションで夢見たのを思い出しました。朝から疲れましたが、4回目なので気を抜きまくって仕事できましたね。なぜか見たくもない上司ほど夢に出てきますね。高校時代の恐ろしき小テストを出す数学教師も未だに出てきます。

 

赤い糸 よく見えないから 縄にして

見つけやすそう。そして、縄なら容易には千切れまい。

 

検診の 数値で 上司と 盛り上がり…

うちの職場なら、バリウム胃カメラなのか大論争(字余り)かな。周りに早期胃がん見つかった人が多いので、胃カメラ派です。バリウム飲むの楽しみなんですけどね。あそこのバリウムは味が選べる!とかあそこの技師むかつく!とか情報交換が凄まじくて、人間ドック選びに参加できるようになるとあぁ遂に中年の仲間入りだなと感じられて楽しい。

 

図書館で借りたのですがシリーズ化されていて続巻があるので、もう今からわくわくします。ちなみに本作は2013年刊行でなでしこジャパンの時期だったみたいでオフィスもなでしこ活躍みたいな句がありました。軽くて読みやすいですが、通勤のお供にするのは人間性が疑われるのでおすすめしません。寝る前も面白さで目が冴えてしまうので、おすすめできません(1日1首のつもりが即完読しました)。

「 [図解]海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる 」

簡潔に無駄なくまとめられており、見た目以上の内容で満足。

(個人的にブログタイトルに「」付けるから、タイトルに「」入るとどうすべきか悩んで空白を入れてしまって負けた気分)

初めの第1章で日本人が思いがちな間違いを羅列。見開き1ページで要約されていて、無駄がない構成。英語学習系にやたらある長文による解説がなくて好感。ビジネスライクな感じ。読者の時間を奪おうとしてない、時間がないことをよく理解された本だなという印象。以下は気になった「間違い」。

いろんな教材を数多くこなそうとする

耳が痛い。まあ私はいま英語学習の気分盛り上げ中の1ヶ月なので色々漁ってるが、最終的には1つのテキストと音声を書き込みまくり聞きまくる予定なので、問題なし。

インプットばかりで、アウトプットの練習が不足

更に耳が痛い。恥ずかしがり屋に見せかけた只のプライド高い人間なので英会話スクールとか苦手。アウトプット系のスマホのアプリも出ているみたいなので、そこに期待したいが本格的に勉強するなら最終的には友人やネットサービスを使わないといけないだろうと断念中。しかし、旅行レベルの英会話とネット上の情報収集(ニュースサイトやナショジオを原文で読みたい)の幅を広げるという自分の目的でアウトプットいるかなぁと抵抗中。

「正しい英語で話す」ことを目標にしている

日常会話はとりあえず横においておく前提で、正しさよりもビジネスで使うのなら3,000語(The Oxford 3000が良いらしい)でコミュニケーションが取れることのほうが大切だという主張は目から鱗。そういえば米大統領の演説も簡易な英語とよく話題になってるような。もちろん業界で必要な専門単語はその都度マイ単語帳を作れというアドバイスが第5章である。

 

第二章で「無駄な単語は覚えない」、「一番覚えやすい言い回し以外は覚えない」と言うものの、最近流行ってるが話すときはくだけすぎるな、可算名詞と不可算名詞は間違えるな等の実体験に基づいたアドバイスは英語学習系からは出てこない(というか、言い回しやたら載せてるのは出版社の都合と言い切ってる)ので、爽快な気持ちになる英語苦手勢は私だけでないはず。

あと、音とスペルを結びつける練習を徹底的に繰り返すのはヒアリング能力を高める上でとても大切だけど、(昔もCDや電子辞書でてきたけど)今の時代ほど容易な時代は本当にないぐらい簡単にできるようになりましたね!昔はZ会のCDをプレーヤーでキュルキュル聞いてたのに、今はアプリでポチるだけ。スピーキングも聞き取ってくれるし…ええ時代ですね。

英語の発声は「胸声」というのも面白かった。猫背や前屈みでは胸声は出ないってのは日本人に肩こりが多い理由なのかなぁと横道それて妄想。

ちょいちょい孫社長上げが入ってきて正直どうでもいいんですが、YahooBB担当されていた経歴考えると仕方ないなーって程度であんまり気になりませんでした。コラムも簡潔で面白かった。まぁコラムで否定されてたTOEICスコアを目標(会社の資格条件なので)するのはすみませんて感じ。

本屋さんと図書館でサラリーマン向け英語学習の本では一番実践的でぱぱっと参考にできて役立てる本でした。

「京都西陣なごみ植物店」

寒い日もありますが、だいぶ暖かくなってきたので植物の話を読みたくなりました。

主人公の府立植物園新人職員・神苗ともに、プラントハンターを目指す明るい「植物の探偵」を名乗る花屋の実菜が京都を舞台に植物をめぐる謎を解き明かす。
人は死なない日常のミステリー短編6作。書き下ろし。

府立植物園は何回か行ったことがあって、園内の雰囲気が好きなのでそこを舞台にした作品でとても楽しめました。


また、西陣ではないけど、千本通に谷川花店という雰囲気も良くて、可愛らしい苔玉売ってるお店が(たぶん今も)あって、イメージしやすかったです。京都でも北区・上京区舞台の話は珍しいですね。観光客も少し落ち着いて、パン屋や洋食屋もたくさんあって暮らしやすいエリアでしたね。

 

ちょっと実菜ちゃんが春の女神やら、プラントハンターを目指すやら、植物の探偵やら、設定が大渋滞起こしてるような感じ。
出会いで春の女神ー!て主人公は感動してるけど、肝心の春っぽさの描写がかなり薄くて、読み手としては冒頭から置き去りにされた気持ち。作業着にドリル装備、食戟のソーマみたいに一風変わった組み合わせの料理を探求する実菜。キャラクター的には好きだけど、どちらかというと姉の花弥のが春の女神ぽくないですかね?おっとりしていて、優しげで、京女らしく締めるところはしっかり締める(ちょっといけずなお姉さんも見たかった)。
そして、両親みたいにプラントハンターを目指すのに、生花店を営むお姉さんを手伝って京都にいるのはなぜ?両親に付いていたほうが良くない?国内でプラントハンターらしく植物を追い求める描写は特にないですし(謎を解き明かすために滋賀県や大原には行く程度)。最終話で祖父が京都で有名な種苗メーカーの社長なんて設定が早々に出てきてしまうと単にお嬢さんの道楽?って、枯れた社会人は厳し目に見てしまうから単に変わった植物が大好きな花屋店員で良かったんじゃないかなと思いました。探偵してるのは販路拡大のためで理由つくし。シリーズ化するなら2巻目から出てきてほしい設定。

話自体は歴史カフェやら論文に悩む院生やら、なんだか本当に京都で起こってそうな話で、森見登美彦さんよりは現実寄りの京都な感じがしました。
祖父が孫たちに気分転換と教育を兼ねて、庭にお小遣いを隠す話はかなり面白かったです。「見立て」の概念を子どもたちに知識ではなく、生活の術として伝授してくれるなんて、良いおじいちゃんだなぁと思いました。

 

通勤のお供にさくっと読める系で、良かったです。カフェのメニュー案を主人公の男性側も試作するのがとてもフラットな感じで新鮮でした。

「ドクターぶたぶた」

安定のぶたぶたシリーズ。

ドクターぶたぶた (光文社文庫)

ドクターぶたぶた (光文社文庫)

 

癒し系のぶたぶたさんシリーズ。

しかし、いつもシェフだったり、カフェ営んだりのぶたぶたさんが遂にドクターに!…大丈夫なのか?と読者を不安にさせる珍しい一作。

 

以下ネタバレ、ご注意下さい。

 

ぶたぶたさんが料理でもラジオのパーソナリティでも、なんでもソツなくこなすガチャピン系であることはシリーズを支える設定ですが、医師は流石に無理じゃなかろうかと思ってしまいます(サイズ的にも見た目的にも)。

医者なんてできるのだろうか?不安。

しかし、今回はそこを含めて良いテーマだったと思います。

 

どうしてもぶたのぬいぐるみを受け入れられない人が出たり、悩んだり、今までなんとはなしに受け入れてきたぬいぐるみであるというハンディキャップに真っ正面から向かい合う本作。その点ではなかなか読み応えがありました。

命の危険がある手術をぬいぐるみに任せられる人、どのくらいいるのでしょう。

患者側(ただでさえ病気で不安なのにかわいそう)、家族、周りの看護士、それぞれの立場から悩み答えを出していくファンタジックな短編5作が楽しめます。健康な人にはおすすめ。

 

「優しい人」

この短編の主人公の病とは違いますが、いま現在あまり健康ではない身として、とても気持ちがわかる作品でした。

それまでは丈夫な方だったから、疲れやすくなった身体をどう労ったらいいのかわからず、無理をして倒れたりもした。それをくり返すことで、身体だけでなく精神的にもダメージを受けてしまった。

この話は病を機として生活や人間関係が崩れてしまう嘆きがとても丁寧に書かれていると思います。思ってはいても言葉や文章にしたくないわだかまり、ほどきたいけどほどけない苦しさ。人には直接話せないことも、架空の話で癒されて、セラピーみたいな温かさを感じました。

 

なんとなくですが、読み終わってもハートフルな良い話と命を扱う医療の話はあまりクロスしてほしくないなと、思いました。

 

「大人が魂消る 日本の古典 怪談・珍談奇聞」

江戸時代に編纂された「耳袋」や「甲子夜話」等から珍談奇聞のなかから、大人が楽しめる82篇を厳選したもの。

大人が魂消る日本の古典 怪談・珍談奇聞

大人が魂消る日本の古典 怪談・珍談奇聞

  • 作者:野火迅
  • 発売日: 2010/08/19
  • メディア: 単行本
 

大人は、男女の間が一筋縄ではいかず、たがいの愛が深くなるほど、きれいごとではすまなくなることを知っている。人生が皮肉と変転に満ちたものであることを、不如意と不如意が鎖のようにつながる苦いものであることを、いやというほど知っている。

(略)

本書の82篇は、子供に読ませるには味が辛すぎる、渋すぎる。もったいない、とも言える。

 

恐ろしいもの、不可思議なもの、珍奇なもの、どの話もとても怪異なエッセンスがたっぷりで楽しめました。

江戸だけでなく日本各地の怪異話なので、第三章にあった「山姫の恵み」は地元岡山備前の話が出ていて、「あの備前の山中でも遠野物語のような山で怪しき女に遭遇する話が昔あったのか」と楽しめました。

 

あと、第一章の「妻の夢に出くわした夫」は離れて暮らす夫婦の苦しみと思いやりが溢れてて、良い話でした。

夫は妻の浮気を疑ったり、妻の寂しさを知ったり、妻は知らずに亡くなってしまったのかと嘆いたり、最後は安心したりして、たった

一晩でこころの動きが目まぐるしく変わり、特に悪いことしたわけでもないのに、なにか可哀想な気もします。

 

やはり日本の夏は怪しきものを楽しみたいですね。

「海の家のぶたぶた」

矢崎存美さんのぶたぶたシリーズ、疲れたときに読むと大変心が癒されるので最近はまってます。

海の家のぶたぶた (光文社文庫)

海の家のぶたぶた (光文社文庫)

 

のぶたぶたシリーズ、シリーズではありますが続き物ではありません。ぶたぶたさんはあるときはシェフ、あるときは本屋さん経営と、巻によって話の要となるぶたぶたさんの設定が違うようです。

ぶたぶたさん本人は一見ただのぶたのぬいぐるみ、布張りの体につぶらなビーズの瞳。なのに人間社会でふつうに働いて、妻がいて、なんなら子どもがいるときもあって、戸籍はどうなっているのか。わけが分かりません。

 

枯れた現代社会に生きるサラリーマンやOL、女子高生にこども、みなそれぞれ悩みを抱えながら生きていますが、ぶたぶたさんに会うと、明らかにぬいぐるみなのに普通生きる姿になぜか癒されていきます。

人間だと属性で判断してしまうから、その目の鱗を取り払って考えられる、考えてしまう、フラットな存在がぶたぶたさんなのでしょう。

登場人物の癒しを追体験していくのが良いんですよね。

一冊に短編5本程度、通勤や就寝前にさくっと読めます。

 

今回はバイトがしたい女子高生、山から引っ越ししてきた小学生…、絵本から飛び出してきたみたいなこぶたの家のような海の家を巡り、短編が五編。

最後の合コンまみれの女性は珍しくお悩み解決系ではなかったような、まぁ仲間の合コンセッティングに夢中になってる子が、そこから離れて、自分だけの休日の過ごし方を考えられるようになる、ってことなのかな?

あと彼女にひたすらテディベアをプレゼントし続けてフラれそうな大学生の内田君がわりかしいそうで良かったです。

昔から、察するというか、いわゆる空気を読むというのがうまくない、というのは言われていたが、あまり気にしたことがなかった。特にそれで困ったことがなかったからだ。でも、ぶたぶたが説明してくれようとしたのに、自分が全然わからなかったということに、ショックを受けていた。

なかなか自分の癖に気付いてなおすって難しいですよね。うまくいってる、というのも本人だけで、周りは「うまくいってない!」て思ってることもまた多し。

 

海の家で出てくるかき氷が自家製シロップとか美味しそうな描写なんですけど、私はお腹弱くてかき氷に魅力を感じられなかったのが残念です。毎回料理の描写がほど良いのも魅力的な本ですね。

「古代出雲を歩く」

 

古代出雲を歩く (岩波新書)

古代出雲を歩く (岩波新書)

  • 作者:平野 芳英
  • 発売日: 2016/07/21
  • メディア: 新書
 

 

島根旅行前の学習本。

各地域ごとの神話等から神社仏閣を紹介していて、まさに神話の舞台が地域といった感じ。

地理が苦手なので、意宇(いう/おう)とか支豆支(きづき)とか読みづらい地名が多くて読み進めるのに苦労しました。

不勉強で初めて知ったのですが、風土記に記載ある「折絶(おりたえ)」という言葉(概念)は面白い。

地形からリンクする文化の境界?という意味合いでしょうか。

非常に興味深かったです。

 

博物館の副館長さんが執筆されているので、読み物としては若干読みづらいです。

ただ、執筆者が地元出身で地元感があるのと、最終章で荒神谷移籍発掘時のエピソードは大変興味深かったです。

出雲についてはこれからも新しい発見がありそうで、楽しみですね。