読書はしご

読書雑多文。

「ドクターぶたぶた」

安定のぶたぶたシリーズ。

ドクターぶたぶた (光文社文庫)

ドクターぶたぶた (光文社文庫)

 

癒し系のぶたぶたさんシリーズ。

しかし、いつもシェフだったり、カフェ営んだりのぶたぶたさんが遂にドクターに!…大丈夫なのか?と読者を不安にさせる珍しい一作。

 

以下ネタバレ、ご注意下さい。

 

ぶたぶたさんが料理でもラジオのパーソナリティでも、なんでもソツなくこなすガチャピン系であることはシリーズを支える設定ですが、医師は流石に無理じゃなかろうかと思ってしまいます(サイズ的にも見た目的にも)。

医者なんてできるのだろうか?不安。

しかし、今回はそこを含めて良いテーマだったと思います。

 

どうしてもぶたのぬいぐるみを受け入れられない人が出たり、悩んだり、今までなんとはなしに受け入れてきたぬいぐるみであるというハンディキャップに真っ正面から向かい合う本作。その点ではなかなか読み応えがありました。

命の危険がある手術をぬいぐるみに任せられる人、どのくらいいるのでしょう。

患者側(ただでさえ病気で不安なのにかわいそう)、家族、周りの看護士、それぞれの立場から悩み答えを出していくファンタジックな短編5作が楽しめます。健康な人にはおすすめ。

 

「優しい人」

この短編の主人公の病とは違いますが、いま現在あまり健康ではない身として、とても気持ちがわかる作品でした。

それまでは丈夫な方だったから、疲れやすくなった身体をどう労ったらいいのかわからず、無理をして倒れたりもした。それをくり返すことで、身体だけでなく精神的にもダメージを受けてしまった。

この話は病を機として生活や人間関係が崩れてしまう嘆きがとても丁寧に書かれていると思います。思ってはいても言葉や文章にしたくないわだかまり、ほどきたいけどほどけない苦しさ。人には直接話せないことも、架空の話で癒されて、セラピーみたいな温かさを感じました。

 

なんとなくですが、読み終わってもハートフルな良い話と命を扱う医療の話はあまりクロスしてほしくないなと、思いました。