「ほっこりミステリー」
「イヤミス」ではなく、人の死なないミステリーを!というコンセプトで集められた短編集。
短編といっても、シリーズものの読み切りな短編なので、真の短編好きな私としては販促みたいな本書は苦手です。
だがしかし、けっこうどの作品も毛色が違っててレベル高い作品が多く、「短編楽しい。設定や発想もいい。これはシリーズにも手を出すしかないな!うん、今度探してみるか!」と鼻息荒くなってしまっていて、まんまと発行元に踊らされています。
新しいシリーズものを探している人には良い本かな。
伊坂幸太郎『BEE』
殺し屋vs蜂。
微笑ましい家庭の一コマですが、あまりに奥さんを恐れる殺し屋に笑えるような泣けるような。
シリーズではハードボイルドなのか、気になる作品。
中山七里『二百十日の風』
産業廃棄物処理施設の建設vs田舎。
まさかまさかの展開で、ちょっと感動しました。
前半が大変現実路線な分、後半のファンタジーに弱くなってしまったのかも。
柚月裕子『心を掬う』
この検察のシリーズはすぐ読みたくなりました。
下手な小細工がなく、実直なストーリーに惚れ惚れします。
私も仕送り(といっても段ボール)のなかに現金を仕込まれていた学生なので、胸にくるストーリーでした。
郵便もですが、小説も作者の心を届けるものだと改めて感じさせてくれる良い作品でした。
吉川英梨『18番テーブルの幽霊』
おしゃまな小学生が可愛らしい。
幽霊にわくわくしてたら、ちょっと拍子抜け。
ミステリーものには仕方ないですけど、ここまで偶然が重なるものでしょうか…?と思いながらも、ちょっとシリーズを手に取りたくなる魅力がある作品です。