「境内ではお静かに」
全体的には99点なのに、4話目がどうしても納得いかないので60点。
良くできたお話といえる。
兄が婿入りした神社に転がり込まされた大学中退生と、冴えざえと美しいこれまたとある事情で神社に転がり込んできた花盛りの巫女さんの子のボーイミーツガール本。
全体的にはライトノベルで、面白い。
ただ厳しい職場に耐えかねて自殺した先輩が忘れ去れずに、自分も教師なんて無理って大学中退した主人公。
菅原道真みたいな元人間の神様が、後からの人間に良いように使われているみたいなの嫌だ、だからその枠組みが嫌いな自分には信心がない、という主張。
先輩が自殺したから大学やめた自分は、つまり先輩言い訳にして現実から逃避していて、それって先輩の自死を利用してるって思わないのかな??
ここらへんの考え方、よくわからない。
そして、第4帖の顛末は納得できないというか容易に赦してはいけない事件ではないかと思う。
女性を手にいれるために、自作の薬混入して拉致する人を「大変反省していたので」とあっさり赦した上、事件自体を積極的に隠匿してもいいのだろうか…。
そもそもその前に偽アカウント作って、嘘の就活失敗話を仕込んだり、実在しない妹と相談してくれって、巫女さんな彼女を誘い出したりして、悪質にも程がないです?
最後の話や彼氏彼女の事情等は凄く良い、絶賛したい。
伏線の回収もすごく上手い。唸りました。
だけど、姉を自殺に追いやったかもしれない事態から男性不信に陥ってもおかしくない彼女が、同じく女性の意思をまるで無視した犯行をした大学生に対してあまりにも軽くて、バランスが取れていないように感じる。
惜しい。
第4帖がなければ100点なのに、あの話の存在意義はなんなのだろう。