読書はしご

読書雑多文。

「金魚のおつかい」

ポッドキャストの朗読から。

基本的には本の読書感想しか載せないつもりなのですが、今回は金魚のあまりの可愛さゆえ特別に。

http://kikudorabungak.main.jp/archives/1791
与謝野晶子「金魚のお使い」 | きくドラ

 

与謝野晶子はただいま源氏物語青空文庫で少しずつ読み進め中。

今回は夏らしい童話があったので聴いてみたら、金魚のかわいらしいこと!

 

あか、しろ、まだらの三匹の金魚が飼い主に頼まれて、おつかいに。

鉄道に乗ろうと切符を駅員に求めると、「金魚は手がないからいい」と言われて、無事にホームに向かい電車に乗り込むも、「電車に水がない!」と三匹は大騒ぎ。

「水がないと!」

「私たち死んじゃうぅぅぅぅ」

「水を下さいー!」

「電車に水を入れると、他のお客様に迷惑です」と断るも哀れな金魚に困った車掌さん。

「じゃぁ、駅長さんの家から、金盥いを借りてきましょう」と提案。

無事電車に乗れました、という下りが可愛すぎます。

 

きくドラは少々アレンジをきかせて、面白い朗読をされるので原作通りかは分かりません

(真夏の夜の夢は最高にギャグ路線だったし)。

きゃいきゃい愛くるしい金魚を求めて、是非原作も読みたいところです。

 

読書は自分だけで読み進めるものですが、たまにはポッドキャストで朗読されたものを聞くのもいいものです。

「素浪人横丁 人情時代小説傑作選」

 あてどない暮らしの中で、人情を感じたいときに。

 

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「最後の証人」

タイトルが胸に響く一作

最後の証人 (宝島社文庫)

最後の証人 (宝島社文庫)

 

 私としては宮部みゆきレベル。

この社会性の高さと、日常を営む人たちを襲う悲劇と、事件へのひたむきさ。

いやミス読むぐらいなら、柚月裕子読んだほうがいい。

(注:個人の感想です)

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「日本SF短篇50 V 2003‐2012 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー」

 旅のお供には間違いない一冊を持ち歩きたい。

ならば、ハヤカワの短編集をお勧めします。

 6月上旬に計画した日帰り弾丸東京ミュシャ旅行。

そして、連日twitterで発信される恐ろしい待ち時間。

地方暮らしの身には、行列に並ぶことなんてまずない。嫌いだし。

炎天下で1時間以上も待つなんて死ねというのか。

暗い気持ちでいたところ、目に飛び込んでくる「日本SF短編50」。

そして「ハヤカワ文庫」。

救いの手がもたらされた、と思いました。

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「三省堂国語辞典のひみつ  辞書を編む現場から」

 三省堂書店で買いました。

国語愛が高まる一冊。

三省堂国語辞典のひみつ: 辞書を編む現場から (新潮文庫)
 

 

三省堂国語辞典の編者が送る国語と辞典への想い。

国語というと身構える人が多そうですが、優しく語りかけられるようで、非常に読みやすかったです。

国語の先生と話しているようで、学生時代に戻ったような気持ちになりました。

 

三省堂国語辞典現代の国語を辞書に反映する、読むとすとんと理解できる、この二つを基本として編まれているとのこと。

アザミの説明は非常にわかりやすかったです。

ただ、情報量が少なすぎる気もしますが、それはまた広辞苑や百科事典などの別の辞書で、ということなのでしょう。

国語が苦手な中学生用、国語が好きな人にはきっと物足りない。

 

また、現代で使う、その一点に集中すると、当然新しく載る語もあれば、消え去るものもある。

話されなくても使われるのならば載せる、というのは面白かったです。

そして、よく誤用として例になる「的を得る」のは誤用なのか。

懇切丁寧に解説しています。

その解説を読むと、誤用と断じるべきか悩ましくなってきます。

 

また、食べたり実験したり分解したり、言葉を収集する実態が新鮮でした。

一仕事人とて取り組み姿勢も素晴らしいです。

何カ所も赤線引き引き読みました。

 

280頁の各国語辞典の特長解説は辞書売り場に貼り出して欲しいですね。

みな国語辞典と銘打っていて、そんなに違いがあったのか!と驚きました。

また、巻末の解説まで、しっかり読みごたえがあり最後まで楽しめる一冊です。

「毎日が楽しくなる17の物語」

 会社の朝礼ネタが欲しい人向け。

心優しくすることが、疲れそうな人向け。

 ちょっといい話集。

クレーマーやクラッシャー上司など心がないのではないか、と思わわれる人もいる。

しかし、こんなことまでしてくれるのか!という心優しい人もいる。

 

私自身はあまり善人ではありません。

やらない善よりやる偽善!という考え。

ただ凡人ゆえに、疲れていると「良いことしてもなんか報われないなぁ」と思ってしまいます。

本来報われるかどうかは、関係ないのですけどね。

そんな心弱い人に、「誰かに親切にするっていうのは、いいことだ!どんどんやっていこう」て背中を押してくれる本です。

そんなに凄い内容ではありません。

 

もちろん効率や利益も大事です。

しかし、優しく生きる人をしっかり評価する、そういう社会になればいいなぁと最近考えます。

「グーグルマップの社会学 ググられる地図の正体」

グーグルマップについて社会学からアプローチ。

グーグルマップの社会学 ググられる地図の正体 (光文社新書)

グーグルマップの社会学 ググられる地図の正体 (光文社新書)

 

 

記載に制限がある紙ベースにはない自由さ、気軽さ、編集性の高さ。

特にスマホでのナビは旅行者の気苦労をひとつ減らしたのは間違いないでしょう。

今や欠かすことのできない旅道具。

そして、皆が使っているのは、おそらくグーグルマップではないでしょうか。

 

ただ、使っていて、不安になることもあります。

たとえば「東京駅 居酒屋」の検索結果。

この検索結果は本当に自分が欲しい情報が出てきているのか?

グーグルだって広告料を貰って、検索結果を表示しています。

それに、そもそもネットに出てないお店だって当然あるはず。

すぐ検索できて便利だから。

そうして失っているものも、あるような気がするのです。

 

また、フィルターバブルという問題もあります。

インターネットでいつの間にかセットになってしまった利用者個人個人に特化して表示を変えていく機能。

利便性とは逆に、自分の検索結果に左右されてしまいます。

ネットを検索していて、取り囲んで押し込めるフィルターバブルを感じることはありませんか?

一昔前と比べて、追いかけてくる広告のせいでネットサーフィンの楽しさが半減している気がします。

それが地図にも展開されていけば、自分で検索したつもりが、最悪用意されたものしか検索できていない状態が出来上がります。

自らのアンテナを高く張って、検索するキーワードを設定していけばいいでしょうが、そんなにいつも高い意識を持ち続けられるのか。 

 

一方で東日本大震災前の状態がストリートビューで見られるという新しい取り組みもあり、地図利用の可能性の広がりを感じます。

社会学的アプローチは新しく、読み応えがありました。

ただ、もう少し筆者なりの学術的考察がほしいのが正直な感想。

今後に期待。