「グーグルマップの社会学 ググられる地図の正体」
グーグルマップについて社会学からアプローチ。
記載に制限がある紙ベースにはない自由さ、気軽さ、編集性の高さ。
特にスマホでのナビは旅行者の気苦労をひとつ減らしたのは間違いないでしょう。
今や欠かすことのできない旅道具。
そして、皆が使っているのは、おそらくグーグルマップではないでしょうか。
ただ、使っていて、不安になることもあります。
たとえば「東京駅 居酒屋」の検索結果。
この検索結果は本当に自分が欲しい情報が出てきているのか?
グーグルだって広告料を貰って、検索結果を表示しています。
それに、そもそもネットに出てないお店だって当然あるはず。
すぐ検索できて便利だから。
そうして失っているものも、あるような気がするのです。
また、フィルターバブルという問題もあります。
インターネットでいつの間にかセットになってしまった利用者個人個人に特化して表示を変えていく機能。
利便性とは逆に、自分の検索結果に左右されてしまいます。
ネットを検索していて、取り囲んで押し込めるフィルターバブルを感じることはありませんか?
一昔前と比べて、追いかけてくる広告のせいでネットサーフィンの楽しさが半減している気がします。
それが地図にも展開されていけば、自分で検索したつもりが、最悪用意されたものしか検索できていない状態が出来上がります。
自らのアンテナを高く張って、検索するキーワードを設定していけばいいでしょうが、そんなにいつも高い意識を持ち続けられるのか。
一方で東日本大震災前の状態がストリートビューで見られるという新しい取り組みもあり、地図利用の可能性の広がりを感じます。
社会学的アプローチは新しく、読み応えがありました。
ただ、もう少し筆者なりの学術的考察がほしいのが正直な感想。
今後に期待。