「日々コウジ中 高次脳機能障害の夫と暮らす日常コミック」
ある日、働き盛りのご主人が、くも膜下出血で日々の生活も大変な高次脳機能障害に。
母が高次脳機能障害の本を探して、図書館で借りてきた一冊。
私の母は認知機能はあまり低下していないので、「私の症状と違うから参考にならないよ」と言われました。
しかし「周りには普通に見えるのに普通じゃない」状態でサポートをしないといけない家族の孤独や苦しさが、私には大変参考になりました。
症状は違っても、サポートされる家族に読んでほしい一冊です。
元銀行員で、独立して会社を経営されていたというご主人ですが、身体的には問題ないけど、障害により現状を正しく認識できない、障碍者だと自分では気づかない、記憶障害があり、今さっき何をしていたか、何をしないといけないかが分からない状態に陥ります。
医療保険で治療費は出ても、住宅ローンの団信の高度障害は対象外。
保険会社の高度障害の規定は本当に厳しいんですよねぇ。
また経済面だけでなく、普通に見えるがために得られない周囲の理解。
理想と現実と、もっとこうだったらいいのに、場面は頷きながら読みました。
不足する家族への支援サービスや分かりづらい行政サービスについても、本当によく書かれています。
日本で4,50万人いるとされているなかで、手続きができる家族がいないとどうなるの?という問いかけ。
本当、どうしてるんでしょうね。病院とかがケアマネを紹介しくれてるのかな。
少しずつ障害と向き合い、世間と向き合う中で、恥ずかしいと思いながら娘さんの就学援助を申請に行ったら学校事務の方から「お互い様ですから」って言ってもらえて、支えあうサービスを受けていいのだと気付けて、孤独感が癒されるシーンが好きです。
また、ご主人が障害者枠での再就職ができて、一安心と思いきや。
雇用されてから会社での受入れ実態というか、働きぶりがそりゃ記憶障害があるからしっかりは働けないわけで。
うちの会社も郵便の仕分けとかの単純作業をして頂く部署がありますが、高度脳機能障害の方はいるのかなぁ。
一緒に働いている人は相当ストレスたまってるだろうに、「奥様も大変なんですね」って声をかけられる社員さん、そして会社が本当にすごい。
そして働ける、ということがどれだけ本人の自身につながり、家族の支えになることか、改めて就労支援の大事さが理解できました。
うちの母は年だし、視野が狭いし、と辞職してリタイア組に入りましたが、現役世代の方は働かなくてはいけないのですよね。
本作は、続編もあるので、ぜひ読みたいと思います。