読書はしご

読書雑多文。

「日本SF短篇50 IV 1993-2002 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー」

 前半は引き込まれたけど、後半は実験的な作品が多くてⅤと異なり傑作集ではなかった。

巻末解説に「SFクズ論争」とあるが、冬の時代だった影響だろうか。

 それでも、ググッと引き寄せられる作品も多かった。

続きを読む

「金魚のおつかい」

ポッドキャストの朗読から。

基本的には本の読書感想しか載せないつもりなのですが、今回は金魚のあまりの可愛さゆえ特別に。

http://kikudorabungak.main.jp/archives/1791
与謝野晶子「金魚のお使い」 | きくドラ

 

与謝野晶子はただいま源氏物語青空文庫で少しずつ読み進め中。

今回は夏らしい童話があったので聴いてみたら、金魚のかわいらしいこと!

 

あか、しろ、まだらの三匹の金魚が飼い主に頼まれて、おつかいに。

鉄道に乗ろうと切符を駅員に求めると、「金魚は手がないからいい」と言われて、無事にホームに向かい電車に乗り込むも、「電車に水がない!」と三匹は大騒ぎ。

「水がないと!」

「私たち死んじゃうぅぅぅぅ」

「水を下さいー!」

「電車に水を入れると、他のお客様に迷惑です」と断るも哀れな金魚に困った車掌さん。

「じゃぁ、駅長さんの家から、金盥いを借りてきましょう」と提案。

無事電車に乗れました、という下りが可愛すぎます。

 

きくドラは少々アレンジをきかせて、面白い朗読をされるので原作通りかは分かりません

(真夏の夜の夢は最高にギャグ路線だったし)。

きゃいきゃい愛くるしい金魚を求めて、是非原作も読みたいところです。

 

読書は自分だけで読み進めるものですが、たまにはポッドキャストで朗読されたものを聞くのもいいものです。

「素浪人横丁 人情時代小説傑作選」

 あてどない暮らしの中で、人情を感じたいときに。

 

続きを読む

「最後の証人」

タイトルが胸に響く一作

最後の証人 (宝島社文庫)

最後の証人 (宝島社文庫)

 

 私としては宮部みゆきレベル。

この社会性の高さと、日常を営む人たちを襲う悲劇と、事件へのひたむきさ。

いやミス読むぐらいなら、柚月裕子読んだほうがいい。

(注:個人の感想です)

続きを読む

「日本SF短篇50 V 2003‐2012 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー」

 旅のお供には間違いない一冊を持ち歩きたい。

ならば、ハヤカワの短編集をお勧めします。

 6月上旬に計画した日帰り弾丸東京ミュシャ旅行。

そして、連日twitterで発信される恐ろしい待ち時間。

地方暮らしの身には、行列に並ぶことなんてまずない。嫌いだし。

炎天下で1時間以上も待つなんて死ねというのか。

暗い気持ちでいたところ、目に飛び込んでくる「日本SF短編50」。

そして「ハヤカワ文庫」。

救いの手がもたらされた、と思いました。

続きを読む

「三省堂国語辞典のひみつ  辞書を編む現場から」

 三省堂書店で買いました。

国語愛が高まる一冊。

三省堂国語辞典のひみつ: 辞書を編む現場から (新潮文庫)
 

 

三省堂国語辞典の編者が送る国語と辞典への想い。

国語というと身構える人が多そうですが、優しく語りかけられるようで、非常に読みやすかったです。

国語の先生と話しているようで、学生時代に戻ったような気持ちになりました。

 

三省堂国語辞典現代の国語を辞書に反映する、読むとすとんと理解できる、この二つを基本として編まれているとのこと。

アザミの説明は非常にわかりやすかったです。

ただ、情報量が少なすぎる気もしますが、それはまた広辞苑や百科事典などの別の辞書で、ということなのでしょう。

国語が苦手な中学生用、国語が好きな人にはきっと物足りない。

 

また、現代で使う、その一点に集中すると、当然新しく載る語もあれば、消え去るものもある。

話されなくても使われるのならば載せる、というのは面白かったです。

そして、よく誤用として例になる「的を得る」のは誤用なのか。

懇切丁寧に解説しています。

その解説を読むと、誤用と断じるべきか悩ましくなってきます。

 

また、食べたり実験したり分解したり、言葉を収集する実態が新鮮でした。

一仕事人とて取り組み姿勢も素晴らしいです。

何カ所も赤線引き引き読みました。

 

280頁の各国語辞典の特長解説は辞書売り場に貼り出して欲しいですね。

みな国語辞典と銘打っていて、そんなに違いがあったのか!と驚きました。

また、巻末の解説まで、しっかり読みごたえがあり最後まで楽しめる一冊です。

「毎日が楽しくなる17の物語」

 会社の朝礼ネタが欲しい人向け。

心優しくすることが、疲れそうな人向け。

 ちょっといい話集。

クレーマーやクラッシャー上司など心がないのではないか、と思わわれる人もいる。

しかし、こんなことまでしてくれるのか!という心優しい人もいる。

 

私自身はあまり善人ではありません。

やらない善よりやる偽善!という考え。

ただ凡人ゆえに、疲れていると「良いことしてもなんか報われないなぁ」と思ってしまいます。

本来報われるかどうかは、関係ないのですけどね。

そんな心弱い人に、「誰かに親切にするっていうのは、いいことだ!どんどんやっていこう」て背中を押してくれる本です。

そんなに凄い内容ではありません。

 

もちろん効率や利益も大事です。

しかし、優しく生きる人をしっかり評価する、そういう社会になればいいなぁと最近考えます。