読書はしご

読書雑多文。

「坂本司リクエスト! 和菓子のアンソロジー」

 一度図書館で借りたのに全く読めず、数年経ってまた借り直した本。

お題系アンソロジーとはかくあるべし!といっても良いほど、良作しかない一冊。

もちろん読了後には和菓子を頂きたくなるため、深夜に読むのはお勧めしない。

和菓子のアンソロジー (光文社文庫)

和菓子のアンソロジー (光文社文庫)

 

 

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「二十の悪夢 角川ホラー文庫創刊20周年記念アンソロジー」

 ハヤカワが一番アンソロのレベルが高いと思うのだけど、角川もなかなかレベル高いよなぁと感じられるアンソロジー。

 どの作品もレベル高いのだけど、恒川光太郎の「銀の船」がすごく良い。

この作者が醸し出す異世界の雰囲気ははまる。

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「12星座小説集」

「 星座をキーワードにアンソロジーかぁ。面白そう」って思って手に取った人を後悔させるには十分すぎるほど、良い作品がない。

星と消えそうな本を出版した講談社はなかなか勇気がある。

 駄作ばかり!と言っては過言でないものの、一番初めに収録された「安政元年の牡羊座」だけは非常に面白かった。

軽快な語り口と江戸時代の武士と星座という組み合わせがなかなか良い上に、しっかり星座のイメージを踏まえた上で物語が作られており、大変面白かった。

 

この最初の一作の出来栄えが良すぎて、後の作品が霞んでしまったような気がする。

星も一等星もあればそうでないものもある。作品もまた然り。

 

敢えてもう一作取り上げるとすれば、佐伯一麦の「二十六夜待ち」。

「二十六夜待ち」とは江戸時代の風習で、陰暦正月・7月の26日夜半の月光の中に弥陀、観音、勢至の三尊が現れるとした月見の風習、その雰囲気を感じる自分の名前も過去も知らない男が主人公の情緒的な一作。

「日本SF短篇50 II: 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー」

 ラスト2冊目。

 「七〇年代、それは日本SFが大いなる飛躍を遂げた年代であった。」

と、解説の出だしにあるように、日本SF短篇Ⅱは全作品が読み応えがある良い作品集。

以下、ネタバレ

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「万能鑑定士Qの推理劇 II」

 今回の鑑定品は古本。

万能鑑定士Qの推理劇 II

万能鑑定士Qの推理劇 II

 

 お店を大事にする莉子がまさかの閉店、オークショニアとして転職するのはまさかの展開でした。

まぁ、健気な男の子を救うための行動なのですから、莉子らしいと言えば莉子らしい。

今回は犯行が少しまわりくど過ぎるような気がして、あまり楽しくはなかったかな。

子供への虐待が疑われるなら、もっと素早く行動してほしいし。

珍しくもスカッとしないセンチメンタルな終わり方なので、微妙な評価となります。

毎度毎度気持ちよく終わりすぎるのも変化がないですし、こういうエンターテイメント性を追求する物語は結末をどう変化させていくか難しいところですね。

別シリーズの主人公が出てくるのはずっと続くのでしょうか?

相方の小笠原や過去作品の関係者を出す方が好きなんだけどなぁ。

 

今回は、邪魔の上司をバルコニーに締め出すシーンは最高にスカッとしました。

いいなぁ、こういう上司。

「美しい日本のくせ字」

え?汚くて読み辛い? 

いいえ、あなたのくせ字が大好きなんです!

美しい日本のくせ字

美しい日本のくせ字

 

 小学生の時に宿題係でした。

係の仕事は、今日の宿題をみんなが提出しているかどうかチェックすること。

小学生だから、名前を書き忘れている子の多いこと多いこと。

おかげさまで、名無しの宿題の犯人探しのためにクラス全員の字が判別できました。

この丸文字はあの子、この豪快にはみ出すのはアイツ、このやたら細長いのは意外にもあの子と。

なるほど、みんな同じ日本語を書いているのに、書き方でこんなに千差万別なんだ。

もう字だけで誰のか分かっちゃうねーって、もうひとりの係の子とぺちゃぺちゃ喋りながら見極める作業をしていたのを今でも思い出せます。

字で人となりを感じることができる、そのことに気付いて以来、私は美しい字よりくせ字がどうも好きでたまらない。

もちろん、達筆な字が嫌いな訳ではありません。

ご朱印を集めるようになってから、寺社で頂く達筆な字の虜でもある。

誰が書いたかわかりづらい、没個性的な教科書的な字は好きではないのです。

しかし、世間的にはくせ字は悪。

私としては理解しがたいことに、なんと世間の皆様は悪筆よりのくせ字の解読技術が意外と低い。

私自身が悪筆なので、だいたいどんな字も普通に読めるのですが、どうやらほとんどのあの悪筆は解読されないようです。

そして、読めなけりゃ貶されるのもやむなし、それが世間一般の常識なわけです。

というわけで、長年こんなこと考えているのは自分だけだろうと思っていたわけですが、どんな道でも先人はいるらしい。

 

この本に出会えました。

 

芸能人、職業人、名も知りえぬ市井の人、実に幅広いくせ字が大集合。

 ただくせ字を集めただけじゃないのが、この本の素晴らしいところ。

くせ字好きの筆者による絶妙な解説や妄想、推測に加えて、中国や日本の偉人なる書家たちの字もくせ字の比較にしてしまう大胆さ。

そして、日本の女子たちの丸文字、へた字の変遷まで、しっかり分析、豊富なサンプルとともに明らかにされている。

そう、個性だけじゃない。

字は時代も反映しているのです。

と、感心したところで、とある一般人と中国の石碑に残った字体がそっくりであったり。

なるほど、時代が変わっても似たような字を書く人っているものなんだぁ、と色々感心します。

特に目から鱗だったのは、外国人の書いた日本語。

田舎だとあまり外国人の手書き文字って見ないのですが、なるほどカレー屋の看板は確かに外国人率高いかも。

しかし、ある広告の文字を見ただけで「これは日本人が書いたものじゃない。これを日本人が書いたとすると、その人の人生が気になる」とまで断言できるのは、くせ字愛好家としての能力面高すぎて、感服致しました。

 

この本の魅力を筆者による独特の感性により、更に高め、そして支持されているのが、発行から数ヵ月で重版されている事実に裏打ちされているのではないでしょうか。

 

さて、今年も年賀状の季節です。

旧知の友の筆跡を楽しむ時期が訪れました。

いつも印刷だけで済ませている方も多いと思います。

誤字脱字上等。キレイじゃないくせ字でOK。

たった一言でも構いません、どうぞあなたの文字を見させてください。

その文字を見るだけで、あなたと過ごした時間に戻ることができます。

 

最近は手書きで書く機会も減りました。

忙しい師走にこそ手にして欲しい一冊です。

「日本SF短篇50 III: 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー」

 Ⅴ→Ⅰへ、逆から読んでます。中間点に到達。

 一部の例外を除いて、なかなか読みごたえがある作品が多かったです。

以下ネタバレ。

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