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読書はしご

読書雑多文。

「高血圧の9割は脚で下がる!」

 図書館で借りたのは、図解のほう。

高血圧の9割は「脚」で下がる! (青春新書インテリジェンス)
 

 医学分野で軽々しく、「9割は!」なんていう本は、信憑性があるのか疑わしいので嫌いなんですが。

あと、この本の「西洋医学ではこうだけど、こうだ!」みたいな主張も、医学知識もない素人にはわかりません。

ははぁ、そうなのか、え?本当に?と思いながら、読み進める感じ。

 

この本のいいところは、具体的なエクササイズがのってるところ。

食生活の改善指導はけっこうどの本にもあるけど、運動しましょうという本が少なかった。

脳梗塞のリハビリついでになので、助かりました。

母にも分かりやすいって、好評だったので良かったなぁ。

 

「十年後のこと」

35人の作家、35の超短編

読了するのが本当に辛かった一冊。

特に前半はほとんど作品らしいものはない。

作家さんがどうこうよりも、「十年後のこと」という比較的重そうなお題なのに、与えられるのは見開き数ページ。

これで読みごたえのある作品を産み出すのは大変だったのだろうと。

数頁で痛快なショートショートを量産した星新一の素晴らしさが改めて感じられる。

後半は四、五作ぐらいは面白い作品があったが、傑作がひとつもなかった。

非常に残念。

35作品も集めてもったいない。

正直出版しないほうがいいんじゃ?と思うのだけれど、コンコルドの誤りというか、走り始めたら止められなかったのだろう河出書房出版さん。

 

意外と壇蜜さんが読めたのが、新しい発見か。

それにしても「十年後のこと」というタイトルでやたら後ろ向きな作品が多くて驚いた。

明るい展望を持てない時代なのだろうか。悩ましい。

同じ十年をキーワードにしたアンソロジーの「十年交差点」のほうが遥かにレベルが高い。

数が多ければいい本になるわけではないのだな、と身をもって教えてくれた点では良書。

たとえ暇を持て余しても手にとらない方がいい。

「バージンパンケーキ国分寺」

アンソロジーで見かけた雪舟えまさん。

せっしゅう、じゃなくてゆきふねと読むのかと、図書館の書棚で岡山県民はびっくりしました。

 

バージンパンケーキ国分寺

バージンパンケーキ国分寺

 

 アンソロジーで読んだ時も感じましたが、この人の世界観と設定、登場人物は不思議な魅力があります。

更にこの本のパンケーキの魅力たるや。

ブルーグレーの雨雲のようなソーダ・ゼリー・パンケーキ。

わんこそば方式で食べおわるころに、追加されるわんこパンケーキ。

食べる人の想いが地層のように重なる半球形のパンケーキ、プライベート・プラネット。

次の休日は絶対パンケーキ作らなくては。

 

トーリーは男友達と女友達が付き合って、なんか気まずい女子高生みほをめぐる、ハイハイ青春にありがちな悩みですね。

主人公の自由な発想によって解決したんだかしてないんだか、微妙な終わりかた。

ゆるゆるな恋愛より、どきどきできる相手と巡り会えたほうが、なんかこの子のためのような気がします。

 

この子の話より、摩訶不思議パンケーキ屋の店主と常連の占い師の話がすごく素敵で切なくて、主人公の物語が霞んでしまった。

主人公は現状のままだけど、店主と占い師さんは、新しい世界に旅立っていて、魔女の宅急便みたいなわくわく感があるのに、なぜ主人公のみほは旅立たないのだろう。

アンバランス。

 

店主さんは、今から想像もつかないご職業で。

純粋培養にアプローチかける男性大変だったろうな、と思いながら、お菓子を振る舞うだけでもう甘酸っぱさで死ぬかと思いました。

「私たちって不良ね」ってかわいすぎです、シスター!

しかも日付間違うとかね。

スマホ時代にはなさそうなミステイクの切なさといったら。

日付を確かめるものといえば、今日の新聞、テレビ、カレンダーぐらいでしたね、昔は。

 

あと、書道家のわるつ先生がかっこいい。「影を認めない人間の成長はそこで止まる」とか含蓄のある言葉が多くて、素敵でした。

お母さんもお父さんも、なんか幸せそうに死んでしまって、ひとりぼっちになった陽炎子(かげろうこ)。

怖くて厳しい書道家の先生と一緒に暮らして、先生は実は魔女で、生きる力を教わっていく。

この話だけで一冊本書けますよ!という魅力に溢れまくってます。

最期を看取り、「ありがとうございました」って感謝するシーンは、感動しすぎてちょっと涙が止まりませんでした。

 

物語の完成度はそんなに高くないと思うのに、なんか不思議な魅力がある作家さん。

早く他の作品を読んでみたいです。

あ、あと寝違えて街から人がいなくなったと騒いでた写真家さん。

きっと世界の狭間に迷い混んだか、死者になりかけてたのだと思います。

不思議すぎる設定や曖昧模糊なところが多々あるので、矛盾とかに手厳しい人は読むといらいらするとか思います。

「たまさか人形それから」

たまさか人形堂、2作目。

続編なだけあって、人形と向き合った前作より後日談な印象が強い。
いや、今回向き合ったのは人形と人間の繋がりだろうか。
友達として可愛がる、大切に慈しむ、人形をつくる。
この本を読んでいると、浅はかなことに人形をいとおしくなる。
なんでもデジタルに気軽に、そんな時代の流れとは逆方向にあるような人形。
アナログで物質的で工業製品でも、人と同じく世界に一つしかない人形。
その妖しい魅力に嵌まってしまったら抜け出せそうにない。
あぁ、昔買ってもらったあやつり人形の赤い魔女。
どこにあるんだろう。


髪が伸びる市松人形の話は、最後のおばあちゃんの問いかけに涙しそうになった。
あと師村さんの悲願が達成されて良かった。
まだ天才肌の冨永くん、そして束前さんが残ってるということは三作目があるのかな?
次タイトルは「たまさか人形堂これから」と予想。
当たるかどうかは置いて、早く続きが読みたい!

「高次機能障害のリハビリがわかる本」

高次脳機能障害のリハビリがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)

高次脳機能障害のリハビリがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)


脳卒中のリハビリというと、麻痺のように身体障害にスポットをあてた本が多い。
しかし、脳卒中の後遺症のなかには「怒りっぽくなる」「文字が読めない」等の高次脳機能障害という後遺症も多い。
また、つい最近まで、目にみえる身体的な症状でないために、今まで見過ごされてきたり、リハビリの対象として捉えられていなかった。
そのため、適切なリハビリが受けられなかったり、性格によるもの、痴呆によるものだと思われてしまい、適切なサポートを受けられなかった人が多いらしい。

そういった機能障害に対して、どのようなリハビリや家族の理解が必要なのかを、イラストと大きい文字、開きやすい冊子上で分かりやすく解説した本書。
私の目的の半空間無視についての記述はなかったけど、易疲労性などの症状にどう向き合えば良いか良いアドバンスが得られたと思う。
後半の雇用訓練などの社会サポートの記述は、他の本より分かりやすかった。

「かわいい絵巻」

 絵巻って、昔の人の漫画みたいなものなんだろうなぁと思います。

かわいい絵巻

かわいい絵巻

 

 「かわいい……」シリーズの一冊。

読み応えがありすぎた「かわいい妖怪画」を読んだ後に本書を読むと、比較的軽いガイダンスのように感じますが、実にさまざまな絵巻物が紹介されていて、楽しかったです。

 

現代の私たちが、美術館や博物館で絵巻を手に取って鑑賞することは、あり得ないといっていいでしょう。

昔のひとがどのように絵巻を鑑賞していたか、丁寧に解説されていたのが興味深かったです。

みんな大好き鳥獣戯画はよく美術館のミュージアムでミニ絵巻で売られていますよね。

私も2巻持っていますが、結構しっかりしたもので楽しいです。

ただ、全部読み終わったあとに巻きなおすのが大変だ!と思っていたのですが、逆方向に巻くときに見直していけばいいのですね。

せかせかした読み方ではなく、ゆっくり楽しんでいたのだなぁと感じました。

まぁ、なにせ現代とは全体の発行量・個人の所蔵量が違いますから、一巻一巻を味わい尽くしていたのでしょう。

 

冒頭の「かわいい」と感じるこころは、どういうものなのか、という分析も面白かったのですが。

子供の絵日記のように上に絵、下に文がある完全分離型の中国式が日本では全く流行らず、絵の間々に、または絵の中に書き込む日本式が圧倒的に支持された、というのは始めて知りました。

遥か昔の日本から漫画の先駆けがあったのだなと感じる瞬間です。

ただ、以前から感じていたのですが、絵巻は同じ絵の中に主人公が複数いるスタイルが結構多くて、分かりづらい。

現代の漫画でも同様の手法はありますが、コマ割りがあればもっと分かりやすいのに、と感じてしまいます。

紹介された絵巻の内容に興味をもつとともに、どのように漫画的な要素が日本で発達していったのか。

そして何故、日本で漫画につながるスタイルが好まれたのか。

非常に刺激された本でした。

「イギリス毒舌日記」

 関西出身の女性がイギリス片田舎にツッコミ入れまくり!

だけかと思ったら、後半の義父母とのエピソードは胸にくる話が多くて、感動した。

装丁からは想像もできない海外生活の辛さや厳しさ。良い本だった。

イギリス毒舌日記

イギリス毒舌日記

 

 

全編において、関西系ならではの鋭いツッコミが楽しい。

読み手はアハアハ笑って読めるけど、イギリス社会のとんでもない状況を、なんとかツッコミをして作者は乗り切っているだと思うと、ちょっとぞっとする。

仕事の意欲が低いとか、全然物を片づけないとんでもない生活状況とか。

でも、日本を一歩出たら他国は軒並みそんな感じがするので、日本がやたら神経質で異常なのでは?と感じる昨今。

もしかして日本が異常なのでは…?

イギリスむちゃくちゃだな!と思いながら、この2つのエピソードはイギリスのほうが一歩進んでいる気がする。

 「特別なお客様だけの日」

デパートの上司が障害のある子どもの親だから、ということで開催される。

障害がある親子のために開かれるデパートの営業日。

このデパートだけで、イギリスで一般的かどうかは分からないけど、こういう営業日があるのって素晴らしいなぁ。

日本でもあるんだろうか?、とちょっとイギリスいいな思えるエピソード。

 

「養子縁組」

子供を育てる能力がないな、と判断されたら、速やかに子供が保護されて、養子縁組に出されてた、というエピソード。

実際はすぐではなくて、イギリスでは家庭支援として、子供にどう接するか、なにを食べさせればいいのか等の支援プログラムがあると本書で触れられているので、滅多にはないエピソードだとは思うけれど興味深いエピソード。

 

あと最後の章の、イギリスの義父母との関係が心温まる感じで、本当に良かった。

義父の最期のエピソードは切なくて、他の義兄弟の嫁の酷さもすごいが、筆者の義父母に対する姿勢は本当にすごいと思う。

日本人同士でさえ、嫁姑問題は大変なのに、生まれた国が違うために苦労も並大抵ではないと思うのによく頑張っていて、本当に偉いなと思った。

 

あと、日本人のほうが凄いのだ!優秀だ!みたいな昨今のノリとは違って、文化が違うんだからしゃーない、国民全員を変えないといけないんだったら受け容れる、というのが現実的。

ついつい日本人目線で、自分たちのほうがいいんじゃ?と思ってしまいがちだけど、どっちが正しいかなんて決められないんだろうなと。

 

ブルーベリーヨーグルトマフィンのレシピだけのってるので、次の休みに作ってみよう。