読書はしご

読書雑多文。

「境内ではお静かに」

全体的には99点なのに、4話目がどうしても納得いかないので60点。

境内ではお静かに 縁結び神社の事件帖

境内ではお静かに 縁結び神社の事件帖

 

良くできたお話といえる。

兄が婿入りした神社に転がり込まされた大学中退生と、冴えざえと美しいこれまたとある事情で神社に転がり込んできた花盛りの巫女さんの子のボーイミーツガール本。

 

全体的にはライトノベルで、面白い。

ただ厳しい職場に耐えかねて自殺した先輩が忘れ去れずに、自分も教師なんて無理って大学中退した主人公。

菅原道真みたいな元人間の神様が、後からの人間に良いように使われているみたいなの嫌だ、だからその枠組みが嫌いな自分には信心がない、という主張。

先輩が自殺したから大学やめた自分は、つまり先輩言い訳にして現実から逃避していて、それって先輩の自死を利用してるって思わないのかな??

ここらへんの考え方、よくわからない。

 

そして、第4帖の顛末は納得できないというか容易に赦してはいけない事件ではないかと思う。

女性を手にいれるために、自作の薬混入して拉致する人を「大変反省していたので」とあっさり赦した上、事件自体を積極的に隠匿してもいいのだろうか…。

そもそもその前に偽アカウント作って、嘘の就活失敗話を仕込んだり、実在しない妹と相談してくれって、巫女さんな彼女を誘い出したりして、悪質にも程がないです?

最後の話や彼氏彼女の事情等は凄く良い、絶賛したい。

伏線の回収もすごく上手い。唸りました。

だけど、姉を自殺に追いやったかもしれない事態から男性不信に陥ってもおかしくない彼女が、同じく女性の意思をまるで無視した犯行をした大学生に対してあまりにも軽くて、バランスが取れていないように感じる。

惜しい。

第4帖がなければ100点なのに、あの話の存在意義はなんなのだろう。

「わたしの好きなクリスマスの絵」

イタリアの老美術家フェデリコ・ゼーリが選ぶクリスマスの絵。

わたしの好きなクリスマスの絵

わたしの好きなクリスマスの絵

 

 選ぶというか、全てキリスト降誕図です。

世界各地のキリスト降誕図をローマから近代までを解説されています。

ひとつのテーマの絵だけを集める本というのは、なかなか珍しく、その道の老美術家の解釈も楽しめるとはなかなか贅沢な一冊。

 

私が最も惹かれたのは、コッレッジョの「キリスト降誕(聖夜)」。

ひたすらキリスト降誕図を眺めて飽きてきた頃に、これでもかというほど光輝く幼子イエス

その荘厳さがまぶしいばかりで、本当に素晴らしい作品です。

他の作品とは一線を画す、素晴らしい作品だと思います。

以降この着想は繰り返し他の作品に流用されるも、成功を収めたのはこの一枚のみと断ぜられるのも納得の1枚。

この絵を忘却することは難しい、これからクリスマスの時期が来る度に思い出すでしょう。

「夜の光」

アンソロジーから見つけた作家さん。

夜の光 (新潮文庫)

夜の光 (新潮文庫)

 

任務を抱えて孤独な夜、これからも私は夜空を見上げるだろう。

そしてその瞬間、私は孤独ではなくなる。

ただそれだけのことだ。

 

天文部な本を見つけたので、思わず借りたが素晴らしい青春の、どう生きるべきか懊悩する高校生達の物語だった。

夜の静けさのなかで孤独に深く考えるのは青春の特権。

夜、校舎の屋上から星空を見上げて、天体の悠久さに比して人間の小ささを感じられるのは天文部の特権。

 

自分が戦うことを知る仲間がいることは、何よりも強い味方だな。

高校から大学なんて、大人になったいまでは自分の人生を決めるまでいかない、只の進路にすぎない。

大学生になってから、社会人になってから、本人にやる気さえあれば全然人生なんて修正できるものだ。

だが、高校三年生って、はじめて親との対決することになる人が多い年齢でもある。

天文部四人にひとりずつスポットをあてて、それぞれの問題が明らかになり非常に楽しい。

天文部の仲間同士、友人関係ではないのが新鮮。

 

あと、観測会で食べているごはんが美味しそうすぎる。

私の高校では鍋をする発想がなかったなぁ。

せいぜいお月見団子を家でつくって持ち寄る程度だった。

惜しいことした!

「消費低迷と日本経済」

 一部同意、一部もやもや。

データから導く流れはなかなかなのに、データ以外で断言される内容がところどころ怪しくて最終的にはお勧めできない出来上がり。

成熟社会となってる日本経済は黄金を求めて触るもの全てを黄金としてしまうミダス王に擬えるのは上手い。

 

消費低迷と日本経済 (朝日新書)

消費低迷と日本経済 (朝日新書)

 

 

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「武者無類ー月岡芳年の武者絵」

以前見た浮世絵展から気になっててた、力強い武者姿の一枚絵。

かつて日本には歴史上の人物の勇壮な姿を楽しむ文化があったんだなぁと興味を持っていたところに本書発見。

浮世絵というと役者絵とか美人画、景色を題材にしたものもありますけど、この武者絵もなかなかどうして。

もうひたすら格好いい!の一言で、一日ずっと眺めていられました。。

武者無類―月岡芳年の武者絵

武者無類―月岡芳年の武者絵

 

 

 月岡芳年(つきおかよしとし)、1839-1892年。

江戸の終わりに生まれて、明治以降も浮世絵を描き続け、多くの作品を遺しているのですね。

浮世絵好きなので、名前は目にしたことがありましたが、本書で初めて詳しく知りました。

本書でも触れられていた「大日本名将鑑」、「月百姿」が結構気になります。

江戸から少し下ったおかげか、題材・構図の取り方等が江戸時代の代表的な浮世絵師とは異なり、それが独特の雰囲気を醸し出しているようです。

 

 

また、本書の魅力はこのいぶし銀な画の魅力をフルカラーで紹介するだけなく、その武将の逸話や生き様を余すところなく解説しているところです。

素晴らしきは、現代の感覚からすっとんきょうな解説をするとかは一切ないところ!

本書を編纂した歴史魂編集部よ、天晴れ!と拍手を贈りたいのですが。

どうやら現在は解散してしまったようです。

これは残念の一言!

「坂本司リクエスト! 和菓子のアンソロジー」

 一度図書館で借りたのに全く読めず、数年経ってまた借り直した本。

お題系アンソロジーとはかくあるべし!といっても良いほど、良作しかない一冊。

もちろん読了後には和菓子を頂きたくなるため、深夜に読むのはお勧めしない。

和菓子のアンソロジー (光文社文庫)

和菓子のアンソロジー (光文社文庫)

 

 

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「二十の悪夢 角川ホラー文庫創刊20周年記念アンソロジー」

 ハヤカワが一番アンソロのレベルが高いと思うのだけど、角川もなかなかレベル高いよなぁと感じられるアンソロジー。

 どの作品もレベル高いのだけど、恒川光太郎の「銀の船」がすごく良い。

この作者が醸し出す異世界の雰囲気ははまる。

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