読書はしご

読書雑多文。

「本をめぐる物語 栞は夢をみる」

 

 んー栞?栞出てきました??

私、読み飛ばしました?

せっかく短編のタイトルに据えるからには、栞が夢見てそうな話があってもいいんじゃないんでしょうか。

まぁ、ダ・ヴィンチ編集部ですからね。

単にキャッチーなタイトル付けただけなんでしょうね。

ちょっと残念。

 

まぁ暇つぶしにはいいかなってレベルの短編集ですかね。

「本をめぐる物語 一冊の扉」のほうが、レベル高かったかも。

 「一冊の本」大島真寿美

自分の葬式でやらかす図書館館主と振り回される娘。

ちょっと痛快で、面白い。

 

「水曜日になれば(よくある話)」柴崎友香

中盤わくわくしかけて、わくわくできない。

よく似た中年のおばちゃん3人組はもっと活かせたのでは。

 

「ぴったりの本あります」福田和代

怖い。世にも奇妙な物語でドラマ化してほしい。

 

「『馬および他の動物』の冒険」中山七里

昨日読んだ「ほっこりミステリー」で注目した作家さん。

この作品だけレベルが段違いで、最高に楽しめた。

古書視点の物語とか、良い発想ですよね。

そして、わたしは今、多くの仲間たちとと共に書架に並び、客もまばらな古書店の中で思索に耽っている。

著書と同じだけの知性を持っている、論理的な著書なら本も論理的に、感情的な著書なら本も感情的に、という設定。本同士の喧々諤々な議論聞いてみたいです。

元々、我々書物は知識の宝庫だがそれゆえに道義心や倫理観は薄い。それよりも書物書物として扱ってくれることを希求している。その意味で、この純一という男は非常に好感の持てる読者だった。既にわたしを含めた六冊は、この男に盗まれたことを幸運とすら感じ始めていた。

読む側の熱い視線すら感じられる本たち。

自分の蔵書になんと思われているのか、本棚見るのが怖くなりそうです。

 

「僕たちの焚書まつり」雀野日名子

遥か未来、本は紙印刷コンテンツなんて呼ばれているのかもしれない。

ネットで糞コンテンツを掴まされた少年がわざわざ紙に印刷して、焚書まつりをしよう!と友達と悪ふざけをするお話。

まさかまさかの展開で、本をつくる様々な人の想いに馳せられる魅惑的な作品。面白い。

 

「トリィ&ニニギ輸送社とファナ・デザイン」雪舟えま

すごい名前だなこの作家さん、岡山県総社市出身かと思ったら、北海道札幌市出身。なぜ雪舟!と思ったら、ゆきふねと読むらしい。

なるほど北海道出身ですね!

こちらも遠い未来、人類が惑星を股にかけて移動する時代のお話。

設定も人物も魅力的。運び屋シリーズみたいな感じで、シリーズ化すればいいのに。

金星出身の女の子、ファナ・デザインの描写が素敵。

いくつもの色が自由に遊ぶような瞳が、僕を間近に見つめて。ファナ・デザインの頬には金色のそばかすが散っていて、頭に巻いたグレーの布からは草色の髪があふれた。なんて美しいひとがいるんだろうか。

 

「カミダーリ」田口ランディ

ラリってますよね?経験ありますよね?と思っちゃうような、異常体験の描写。

原田宗典にありそうな展開。ただしキレは微妙。

ちなみに本文で解説されない沖縄方言、ネタバレですが。

カミダーリ:ユタになる方が体験するトランス状態

マブイ:魂

おつりが何を象徴するか、ちょっと分からないんですが。

 

「解釈」北村薫

 宇宙人が地球の本を見かけたら?という発想。

面白いけど、もう少しひねりが欲しいような。

 

8作品中5作品ヒット。

栞が夢を見ていないことは不満ですが、当たりかな。