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読書はしご

読書雑多文。

「かわいい妖怪画」

 

かわいい妖怪画

かわいい妖怪画

 

 

日本で妖怪がどのように捉えられていたのかを「かわいい」という視点から紐解く一冊。

なんで「かわいい」なの?

と思ったら、「かわいい禅画」「かわいい絵巻」などシリーズものだからです。

 

読みながら、かわいいかわいいってちょっと無理があるな…と思ったら

繰り返しになるが、今に残る中世の絵巻に描かれた妖怪をかわいいと感じるのは私たち現代人の感覚であり、当時の人はかわいいというとらえ方をしていなかったと思われる。しかし、江戸時代には、明らかに「かわいい」を意識して描かれた妖怪たちが存在する。こうした変容は、妖怪が印刷物として爆発的に広がったことによりもたらされた。すなわち木版印刷の発達は多くの人が同時に同じ情報に接することを可能とし、今までの肉筆という制約から解き放たれた妖怪は印刷物を通して一気に人びととの距離を縮めたのである。

と筆者・湯元豪一氏も指摘されている。

全般的に構成もかわいく、妖怪のかわいらしさを堪能できる本書であるが、「かわいいって言われてもな。当時はそんなこと考えてないっしょ、どう解説すればええんじゃ」という苦労を伺ってしまうのは捻くれた見方だろうか。

大変丁寧な解説で、妖怪ひとりひとりがどういう妖怪なのか、そして描かれた絵巻等の背景や設定等を丁寧に解説されていて、薄さのわりに読み応えはある。

見た目がライトな印象を裏切る出来栄えであるので、妖怪好きな諸兄におかれては臆せず手に取って頂きたい一冊です。

 

個人的には放屁で鬼を撃退する神農(伝説上の古代中国の王様)の神農化物退治絵巻に戦慄しました。

同じく島へ鬼を退治する地元岡山の英雄たる桃太郎がこんなストーリーでなくて、本当によかった。